KOJIMA PRODUCTIONSの処女作。
小島監督の独立後最初の作品。
ゲームシステム、シナリオ、世界観、全てにおいて素晴らしい出来と言うしかない。
ゲームシステム
配達
ほぼお使いゲームなのだが、そのお使い自体にゲーム性を付けられている。
まず、運ぶ荷物には、大きさと重さが存在する。
背中への積み方により、移動時のバランスも変わってしまう。
荷物の総重量が重ければ移動速度が遅くなる。
左右に偏った積み方をすれば、その方向へのバランスが酷くなる。
(バランスは、荷物編集画面で、サムの足下に重心となる位置が表示されているので、それで判断可能。サムの荷物を担ぐモーションでも、バランスがわかる。)
いくら軽くても縦方向に積み上げれば、左右に振り返ったときにバランスが崩しやすくなる。
荷物には、武器や消費アイテムなども含まれるため、クエストで運ぶ荷物も含めてどの程度運ぶかも重要となる。
また、荷物だけじゃなくて、配達先への移動経路も重要となる。
マップには、大まかな起伏の情報の他に、敵となるミュールやテロリストが活動している範囲(テリトリー)や、天気予報で雨とともに現れるBTの予測もする事が出来る。
敵を迂回して険しい所を移動アイテムを駆使して乗り切るか、対処するために武器を持つか、車両を使って突破するか、などを検討できる。
得られる情報から考え抜いて、準備するのだ。
つまり、クエスト受注前から既に配達が始まっている。
移動
移動の要素もかなり独特。
上記荷物の積み方により、バランスを崩すと、L2/R2でバランス調整のために体重を掛ける方向を決めて調整できるが、それ以上にバランスを崩すと転ける。
転ければ、積んでいた荷物が散らばる。
荷物が散らばれば、荷物が傷む。
荷物が傷めば、配達先の評価が下がる。
イケメン*1が壮大に転けることもあるので、絵としてなかなかシュール。
転ばないようにするには、事前にL2/R2キーを押し込んでおいて、最初からバランスをとるようにすれば良いか、少々移動速度が犠牲になる。
また、地形も大きく影響を受ける。
起伏があれば転けやすくなるし、坂道があれば登るのにスタミナを消費する上、急で足場が不安定な坂だったりすると、滑ったりもする。(もちろん大荷物を背負っていると、その可能性が高まる)
川などもあり、川幅が狭かったら梯子と掛けたり、水深が浅ければ強制的に渡る事も出来るし、カイラル通信が通じている場所だったら橋を掛けることも出来る。
ちょっと水深が深いところに行ったりすると、急激にスタミナを奪われて、流れに浚われたりもする。(もちろん大荷物を(以下略))
カイラル通信
肝となるオンライン要素は、非同期オンラインとなる。
最初はカイラル通信が繋がっていないので、繋がるまでは孤独の戦いとなる。
一度繋がると、同程度の進行度の人たちの一部と共有する事になる。
荷物をフィールドに落としてから一定距離離れると、何度かの警告を経て、荷物が他のプレイヤーのフィールドに移送される。
もちろん、他のプレイヤーの荷物も自分のフィールドに移送される。
他のプレイヤーが配達依頼した荷物も来たりするので、それを代わりに配達してあげたりも出来る。
建築物や梯子やロープを始め、辿った移動経路も共有される。
他のプレイヤーが建てた建築物を修復することも出来る。(逆に修復してくれることもある)
車両移動に有利な国道の建築状況も共有出来るし、短距離ながらサムと荷物を運べるジップライン、サムだけの拠点間移動となるフラジャイルジャンプも出来る。
戦闘
移動中に遭遇する敵は、大きく2タイプ(厳密には3タイプ)
実体があるミュール・テロリストと実体無しのBT。
両方とも隠れることがメインとなるが、そのアプローチは大きく異なる。
ミュール・テロリストは、それぞれの視界に入らないようにする。
建物や車両の陰は勿論の事、背の高い植物も隠れる事が出来るが、荷物を高く積み過ぎると、植物には隠れられなくなる。(専用にTipsも準備)
殴ってたり武器や道具で戦闘不能にすることも可能。(荷物でぶっ叩くも可能。壊れるけど。)
テリトリー内の全てのミュール・テロリストを戦闘不能にすると、テリトリーが一定期間安全地帯になる。(近隣の住民から、喜びのメールが届く)
最初に登場するBTのゲイザーは、基本見えない。
サムが装備しているオドラデクがあると、一番近いBTの場所を動きの激しさで距離を示してくれるが、静止すると黒い残像として見えるようになる。
だたし、BTも視界を持っておらず、BT自体からもサムは見えない。
その代わり、音と呼吸に敏感なので、なるべく音を出さないように基本はしゃがみ移動、ゲイザーが近くなったら、息を止めて移動が基本となる。(ストーリーが進むと、ゲイザーを撃退することが出来るようになる)
当然息は長時間止められず、現在のスタミナ残量が止められる限界値になる。(疲労が溜まってスタミナが少ない場合、息を止める時間も少なくなる。)
ゲイザーに見つかると、ゲイザーからハンターが登場する。
ハンターは、動物のような足跡と足跡から飛び散るタールで居場所がわかるが、やはりBTなので、視界を持っていないため、息を止めていれば見つからない。
ハンターに捕まって引き倒されると、BTの親玉キャッチャーが登場するフィールドに引きずり込まれる。
キャッチャーは撃退するか、タールで満たされたフィールドを抜けて脱出するかとなる。
BTは、サムの体液が弱点となっており、サムの血液を使った血液グレネードや対BT兵器を使うと撃退できる。
ストーリーと世界観
デスストランディングと呼ばれる現象により、荒廃した世界が舞台。
あの世の生物であるBTが現れるようになり、そのBTがこの世にある人の肉体と触れるとボイドアウトと呼ばれる大爆発が発生し、クレーターと化す。
恐怖に人々はふれ合いを拒絶し、シェルターに引き籠もるようになる。
引き籠もった状態だと生活物資が滞って生活は出来ないので、人々は配達人に頼って生活を成り立たせている。
主人公サムは、その配達人の一人。
その配達技術と過去の繋がりを辿り、次期アメリカ大統領アメリの救出と託される。
登場するキャラクターも曲者揃い。
どんな戦場からも帰還するアメリカ大統領を補佐するダイハードマン。
体の70%が他人の臓器で構成されている医療スタッフであるデッドマン。
赤子BTと繋がっている開発スタッフであるママー。
首から下が老朽化してしまっている競合配達会社フラジャイルのトップであるフラジャイル。
主人公サムと繋がっているBB。
21分毎に生と死を繰り返すビーチ研究家のハートマン。
BTを操る謎の人物ヒッグス。
BBと接続した際の記憶のフィードバックで現れるクリフ。
他にも多種多様なNPCが存在する。
とにかくストーリーの物量がすさまじい。
最終的には、デスストランディングやヴォイドアウトなど、なぜ現在の状況に陥ったのかから、各キャラクターがなぜその状況に陥ったのか、最終的には、主人公のサム自身の事や彼と長く付き合うことになるBBも含めて、その結末がきっちり語られている。